大須は、名古屋の中心部にある商店街です。
大須観音や万松寺などの歴史的な寺院や、手焼きみたらし団子や大須唐揚げなどのグルメ、古着屋やサブカルチャーの店など、多彩な魅力が詰まったエリアです。
夜の大須を「Leica M monochrom (Typ246)+SUMMICRON-M f2.0/35mm ASPH.」と歩いてきました。
Leica M monochrom (Typ246)
「Leica M monochrom (Typ246)」は、モノクロ専用のデジタルカメラ。
最大の特徴はカラーフィルターを持たない2400万画素のCMOSセンサーを搭載していることです。
カラーフィルターは光の波長に応じて色を分離する役割を果たしますが、その分光の量を減らしてしまいます。
そのため、カラーフィルターがないと光の量が増えるので、より高感度で低ノイズの画像となるわけです。
また、画素の間にあるモアレや偽色の原因となるローバスフィルターも不要になるため、画素の情報がそのまま画像に反映され、カラーでは得られないような精細でシャープなモノクロ写真が撮影できます。
ライカと言えばレンジファインダーですが、このモデルはライブビュー、EVFの両方が使えるので、撮影状況に応じてフォーカスやパースペクティブを確認することが可能。
レンジファインダーは光学的に被写体との距離を測ることができ、ライブビューは液晶画面やEVFでリアルタイムに画像を見ることができるので、フォーカスピーキングや拡大表示などの機能を使って微妙なピント合わせができます。
EVFは別売りのアクセサリーでホットシューに装着することで電子的に画像を見ることができ、レンズの焦点距離や絞りに応じて画角を自動的に調整するのでレンズ交換時にも便利です。
最大ISOは25,000で、暗所や室内でも対応可能なため写真の幅を広げることが可能となるでしょう。
また、ボディはライカM-P (Typ240)と同じで、サファイアガラスの液晶や2GBのバッファを備えています。
サファイアガラスは傷に強く耐久性が高いのでスナップを撮りに街へ行くときも細かいことを気にせず首から下げることができ、2GBのバッファがあることで安心して連写できると思います。
モノクロ写真の表現力と可能性を広げるカメラです。
SUMMICRON-M f2.0/35mm ASPH.
「SUMMICRON-M f2.0/35mm ASPH.」はライカMマウント用の明るい単焦点レンズ。
35mmという画角は人間の視野に近くスナップなどに最適です。
このレンズは5群7枚の光学系に非球面レンズを1枚含み歪曲収差やコマ収差をほぼ完全に補正しています。
その結果、開放から画面全体に高い解像力とコントラストを発揮し、豊かな階調表現と美しいボケ味を得られます。
また、レンズフードが金属製になり、絞り羽根が8枚から11枚に増えたことで点光源の形状やボケの自然さが向上。
ライカの伝統と技術が凝縮された、定番の名レンズです。
【作例】「Leica M monochrom (Typ246)+SUMMICRON-M f2.0/35mm ASPH.」と夜の大須を歩く
商店街に向かう交差点にある信号。
歩行者用信号のディティールを出すため、かなりアンダーに撮影しましたが暗闇の中にある建物の形を感じることに驚きました。
ガラス越しでの撮影ですが、ガラスと靴の質感を伝えてきます。
影の形とあいまって不思議な雰囲気の写真になりました。
色あざやかな商店街をモノクロで撮るといつもとは違った表情を見せます。
こういうところもモノクロ写真のいいところだと思います。
うわべだけでなく本質が見えてくるというか...
少し汚れた感じが、ただ汚れているのではなく時間の経過として伝わるのもモノクロならではの描写。
このような微妙な表情を伝えることができるのは階調豊かなモノクロ専用機ならでは。
さすがSUMMICRON。
歪みなく、きれいなパース感で表現されています。
これほど立体的に描写されると、いろいろなものを撮影したくなりますね。
35mmが街と人を撮るのに、ちょうどよい焦点距離だということを考えると「Leica M monochrom (Typ246)+SUMMICRON-M f2.0/35mm ASPH.」はスナップ最強の組み合わせではないかと思います。
商店街から細い道に入ると昭和の香りがする風景が。
ライカなら何か写りそうな気がして思わずシャッターを切ってしまいました。
写真を見ると、ライカはとても好みな描写をしてくれるなと再確認。
カメラを変えると写真が変わります。
夜でも少しアンダー気味に撮りたくなるのがモノクロの不思議。
シャドウの中にうっすら見える描写が好きなんですよね。
「Leica M monochrom (Typ246)」で本当のモノクロの世界へ
モノクロで夜というカメラにとっては厳しい状況での撮影。
その状況でも大きな破綻もなく描写しているのは、さすがライカというところでしょうか。
モノクロ専用機ではなくカラーで撮ってモノクロにしても同じではと考える方もいらっしゃると思いますが全く意味が違うと思っています。
なぜなら、同じ条件で撮影して見比べるだけなら違いをあまり感じることができないかもしれませんが、モノクロで撮ると思っているので感じ方が違うからです。
つまり、条件を合わせカラーで撮ってモノクロにするのかモノクロ専用機で撮影するのか、どちらがいいのかと考えることに意味があるのではなく、モノクロの世界でどう表現しうるのかと感じて撮影することに意味があるわけです。
モノクロのデジタルカメラということで、モノクロフィルムとの比較も必要かと思います。
モノクロフィルムの現像を自分でしていましたし、他のフォトグラファーのネガもたくさん見てきましたが、この状態の現像をするのは難しいかなと思うくらい高品質なモノクロデータでした。
このレベルのデータが撮りっぱなしで手に入るということだけでも、驚くような価格を出してもいいかなと思ってしまいます。
モノクロにこだわりのある方は一度手に取って撮影してください。
もう後戻りできなくなるくらい、すごい世界を体験できるはずです。