「LEICA M Monochrom(Typ 246)」は2015年5月に発売。
価格は発売当時、ボディのみで1,155,000円(税込)でした。
LEICA M Monochrom(Typ 246)
カラーフィルターを持たない24メガピクセルのCMOSセンサーを搭載し、ISO 320からISO 25000までの広範な感度範囲を持ち、優れた高感度性能を誇ります。
モノクローム写真は、色のない世界で光と影のコントラストを強調し、被写体の本質を引き出す魅力があります。
ライカは、1849年にエルンスト・ライツによって設立され、オスカー・バルナックが開発した35mmフィルムカメラ「ウル・ライカ」によって写真の歴史を大きく変えました。
その伝統と革新の精神は、現在のデジタルカメラにも受け継がれ、ライカM モノクローム(Typ 246)はその象徴的な存在です。
カメラの基本仕様
センサーと解像度
35.8mm x 23.9mmの大型フルサイズCMOSセンサーを搭載しています。
このセンサーには従来のカメラにあるカラーフィルターアレイ(ベイヤーフィルター)が存在せず、モノクロームのみに特化した設計となっています。
解像度は2400万画素(6000 x 4000ピクセル)。
高解像度ながらもカラーフィルターがないため、より鮮明で高コントラストの黒白画像を生成できます。
さらに、カラーフィルターを介さずに光を直接受光できるため、高感度撮影時のノイズ特性にも優れています。
このように、モノクロームセンサーは単色の画像生成に特化した設計により、解像感と階調表現力の高い黒白写真を実現します。
ISO感度
ISO感度の幅広い設定が特徴です。
基本感度はISO 320から始まり、最大ISO 25000まで対応。前モデルのISO 10000を大幅に上回る高感度性能を持ち、特に高ISO設定でのノイズ抑制が優れています。
ISO 3200までは非常に細かいノイズで、ISO 6400でも使用可能な画質を維持。
さらに、ISO 12500以上でもシャープネスとディテールを保ちながら、ノイズを効果的に抑えます。
このように、ライカM モノクローム(Typ 246)は、低照度環境でも高品質なモノクローム画像を提供するための強力なツールです。
シャッタースピード
幅広いシャッタースピード設定を提供し、撮影の柔軟性を大幅に向上させています。
このカメラは、最速1/4000秒から最長60秒までのシャッタースピードをサポートし、さまざまな撮影シーンに対応可能です。
高速シャッタースピードは動きの速い被写体を鮮明に捉えるのに適しており、逆に長時間露光は夜景や星空の撮影に最適。
さらに、Typ 246のシャッターは金属製のフォーカルプレーンシャッターを採用しており、垂直方向に動作するため、信頼性と耐久性が高いです。
このように、プロフェッショナルな写真家にとっても満足のいくシャッタースピード性能を提供します。
デザインと操作性
ボディのデザインと素材
そのボディデザインと素材において、耐久性と美しさを兼ね備えた逸品です。
ボディは高強度のマグネシウム合金で作られており、これにより軽量ながらも非常に頑丈な構造を実現しています。
さらに、トップカバーとベースプレートには真鍮が使用されており、これがカメラにクラシックな外観と手に馴染む質感を与えます。
また、防滴設計が施されているため、多少の雨や湿気にも耐えることができ、過酷な撮影環境でも安心して使用可能です。
このように、プロフェッショナルな写真家にとって信頼性の高いパートナーとなるデザインと素材を持っています。
操作性の向上
従来モデルから大幅に操作性が向上しています。
まず、ライブビュー機能が新たに追加され、背面の3インチ高解像度LCDモニターを通じてリアルタイムで撮影シーンを確認可能です。
これにより、従来の光学ファインダーだけでなく、デジタル表示を利用した撮影が可能となり、特に精密なフォーカス調整が求められるシーンでの利便性が向上しました。
さらに、フォーカスピーキング機能も導入され、ライブビュー中にフォーカスが合っている部分が赤くハイライトされるため、手動フォーカスが格段に簡単になります。
これらの改良により、従来のレンジファインダーの魅力を保ちながらも、現代的なデジタル機能を取り入れた、より使いやすいカメラとなっています。
画質とパフォーマンス
高ISO性能とノイズ抑制
その画質とパフォーマンスにおいて、特に高ISO性能とノイズ抑制が際立っています。
このカメラはISO 320からISO 25000までの広範な感度範囲を持ち、特に高ISO設定でも優れた画質を維持します。
ISO 3200までは非常に細かいノイズで、ISO 6400でも使用可能な画質を提供。
さらに、ISO 12500以上でもシャープネスとディテールを保ちながらノイズを効果的に抑えます。
ノイズは主に輝度ノイズであり、これがフィルムの粒子のような質感を与え、画像に独特のキャラクターを加えます。
さらに、ライカのモノクロームセンサーはカラーフィルターを持たないため、色ノイズがなく、純粋な輝度データのみを記録することで、非常に高い解像度とダイナミックレンジを実現。
このように、低照度環境でも高品質なモノクローム画像を提供するための強力なカメラです。
連写性能
連写性能においても優れた特徴を持っています。
このカメラは、最大3フレーム/秒の連写速度を実現し、JPEG形式では最大30枚、RAW形式では最大20枚の連続撮影が可能です。
これを支えるのが、2GBの大容量バッファメモリと高性能なLeica Maestroプロセッサーであり、これにより連続撮影時のパフォーマンスが大幅に向上しています。
特に、バッファが満杯になるまでの連写速度は非常に速く、撮影後の画像表示も迅速に行えるため、次のシャッターチャンスを逃しません。
このように、動きのあるシーンや連続した瞬間を捉える際にも高い信頼性とパフォーマンスを提供します。
動画撮影機能
モノクローム専用カメラでありながら、動画撮影機能も充実しています。
このカメラはフルHD 1080pで24または25フレーム/秒の動画撮影が可能で、専用のMボタンを使って簡単に録画を開始および停止できます。
内蔵のモノラルマイクに加え、外部ステレオマイクをホットシューに取り付けることで、より高品質な音声録音も実現。
ライブビュー機能を活用することで、撮影前に構図やピントを確認でき、フォーカスピーキング機能がピント合わせをサポートします。
これにより、静止画だけでなく動画撮影においても高い精度と使いやすさを提供。
モノクローム映像の美しさを追求する映像クリエイターにとっても魅力的な選択肢です。
レンズとアクセサリー
対応レンズ
ライカMマウントを採用しており、これにより幅広いライカMレンズとの互換性を持っています。
このカメラは、16mmから135mmまでの焦点距離をカバーするライカMレンズを使用することができ、多様な撮影スタイルに対応可能です。
さらに、6ビットコード化されたレンズを使用することで、カメラが自動的にレンズ情報を認識し、最適な撮影設定を提供します。
この互換性により、ユーザーはライカの高品質なレンズ群を最大限に活用でき、モノクローム写真の美しさを引き出すことが可能です。
クラシックなライカレンズの魅力も存分に楽しむことができるカメラです。
推奨アクセサリー
最大限に活用するためには、いくつかの推奨アクセサリーが役立ちます。
特に、マクロアダプターMは、90mmマクロエルマーMレンズと組み合わせることで、従来のモデルでは難しかったクローズアップ撮影が可能。
このアダプターは、他のMレンズとも互換性があり、例えば50mmノクティルックスf0.95と組み合わせることで、非常に浅い被写界深度での撮影が楽しめます。
また、モノクローム写真のコントラストとトーンを調整するために、カラーフィルターの使用も推奨され、特に赤フィルターは、空のコントラストを強調し、ドラマチックな効果を生み出すのに適しています。
黄色やオレンジのフィルターも、肌のトーンを滑らかにしたり、風景写真でのコントラストを調整することができます。
これらのアクセサリーを活用することで、ポテンシャルを最大限に引き出し、より創造的なモノクローム写真を撮影することが可能です。
LEICA M Monochrom(Typ 246)を使ってみて
手に取ると、その重厚感と高級感が手に伝わり、まるで歴史と伝統が詰まった宝物を扱っているかのような感覚に包まれます。
このカメラで撮影を始めると、まるで時間が止まったかのように、被写体との対話が始まるのです。
モノクロームの世界は、色彩の喧騒から解放され、光と影の微妙なニュアンスが際立ちます。
街角でのスナップショットや、静かな風景の一瞬を切り取るとき、ライカM モノクロームはその真価を発揮。
撮影者の心を揺さぶるのは、そのシンプルさと純粋さです。
余計な機能や設定に煩わされることなく、ただシャッターを切る瞬間に集中できます。
このカメラを使うことで、写真を撮るという行為そのものが、まるで瞑想のような深い体験に変化。
被写体に向き合い、フレームの中に収める瞬間、ライカM モノクロームはまるで撮影者の心を読み取るかのように、完璧な一枚を生み出します。
特に印象的なのは、撮影後に画像を確認したときの感動。
モノクロームの世界が持つ独特の美しさと、細部まで描写されたディテールが、まるで絵画のように浮かび上がります。
このカメラで撮影することで、写真の本質に立ち返り、シンプルでありながら深い表現力を再発見することができるのです。
「LEICA M Monochrom(Typ 246)」は、まさに写真家の心を揺さぶる特別な存在です。
作例写真
この看板は、喫茶店の駐車場の案内標識。
周りを覆う植栽が標識を額縁のように囲んでいるため、額縁構図を意識して撮影しています。
額縁構図は被写体を強調する効果があり、この標識の存在感を際立たせる狙いがあります。
背景には海が広がっており、水平線が見えます。
この空と海の対比を画面内にいれることで二分割構図も取り入れられ、バランスの取れた構図になっているのではないでしょうか。
モノクロということで、色の雰囲気に惑わされずに形や構図、明暗のコントラストに集中できると思います。
全体的に落ち着いた構図と明暗のコントラストが、この風景の静けさや余白の美しさを引き立てているのではないでしょうか。
この写真は、送電線の鉄塔を主題にしたモノクロ写真です。
鉄塔の幾何学的な構造と、背景の木々のシルエットのコントラストが印象的です。
構図では、鉄塔を中心に据えながらも、やや左よりに配置することで、バランスの取れた緊張感のある構図になっています。
前景と背景の明暗のグラデーションも見事で、モノクロならではの立体感と陰影の魅力が際立っています。
撮影時間帯は、空の明るさから判断して夕方近くです。
この時間帯の光は、鉄塔の影を長く伸ばし、より立体的な印象を与えています。
全体として、人工物と自然の対比、幾何学的な構造物とオーガニックなフォルムの対比など、様々なコントラストを表現した1枚です。
この写真は、窓の格子越しに差し込む光と影のコントラストを捉えた一枚です。
格子状の幾何学的な構造が生み出す強い視覚的なインパクトと、光と影のモノクロームの世界観を表現しています。
窓の格子という日常的な被写体を、ユニークな視点と構図で切り取ることで、普段見過ごされがちな美しさが浮き上がるのではないかと考えました。
格子の陰影がダイナミックなリズムと立体感を生み出し、写真全体に緊張感と力強さがでたのではないでしょうか。
光の強弱によって生まれる濃淡のグラデーションが、モノクロームながらも豊かな表情を作り出しています。
格子の一部が過剰露光して白とびさせているのも、対比効果を高める要因として狙いました。
まとめ
「LEICA M Monochrom(Typ 246)」は、モノクローム写真の世界において他に類を見ない特別なカメラです。
その24メガピクセルのフルフレームCMOSセンサーは、カラーフィルターを持たないため、非常に高い解像度と豊かな階調表現を実現しています。
また、ISO 320からISO 25000までの広範な感度範囲により、低照度環境でもノイズを抑えたクリアな画像が得られます。
マグネシウム合金と真鍮を使用した堅牢なボディは、長期間の使用にも耐えうる設計であり、防滴設計も施されているため、過酷な撮影環境でも安心して使用できます。
さらに、ライブビュー機能とフォーカスピーキングの導入により、ピント合わせが格段に容易になり、撮影の自由度が大幅に向上しました。
モノクローム写真愛好者にとって、ライカM モノクローム(Typ 246)はそのシンプルさと純粋さが最大の魅力です。
色彩の喧騒から解放され、光と影の微妙なニュアンスを捉えることができるこのカメラは、被写体の本質を引き出す力を持っています。
また、ライカMマウントを採用しているため、幅広いライカMレンズとの互換性があり、クラシックなライカレンズの魅力を存分に楽しむことができます。
マクロアダプターやカラーフィルターなどのアクセサリーを活用することで、さらに創造的な表現が可能となります。
総じて、「LEICA M Monochrom(Typ 246)」は、モノクローム写真の美しさを追求する写真家にとって、信頼性の高いパートナーとなるカメラです。
その高い解像度、優れた高感度性能、そして堅牢なデザインは、どんな撮影シーンでも最高のパフォーマンスを発揮します。
モノクローム写真の世界に深く没入したいと考えるすべての写真家に、このカメラは強くおすすめできます。